冒頭に、『うつ病は現在10人に1人の割合でかかる精神疾患で、自殺者の6〜7割が
うつ病である可能性があります。その為 、他の病気と同様、早期発見、早期治療が
大変重要です』とのお話がありました。
うつ病の発症要因
@性格 ・・・ まじめ、几帳面、責任感が強い、人に任せられない
A喪失体験 ・・・ 家族の病気、障害、死
また、それに伴う将来の計画や夢の喪失
B過剰労働 ・・・ 限界を超えた労働による疲労や緊張
これらの要因が重なる ⇒ セロトニンの減少を誘発し発症しやすくなる
・セロトニンは心のバランスを整える作用のある神経伝達物質です。
*介護者は、喪失体験・過剰労働を常に抱えています。
あなたのパートナーが社会不安障害を持っているときに何を期待する
*2005年の厚生労働省の調査では、介護者の4人に1人が介護うつに
なっているという調査結果が出ています。
うつ病の症状
@抑うつ気分 : いつもむなしい、いつも悲しい、いつも楽しくない
A口数が減る
B笑わない
C意欲低下 : やる気が出ないまま仕事をする ⇒ セロトニンの減少
Dマイナス思考
E睡眠障害 : 特に朝早く目が覚めてしまう早朝覚醒 が多い
F罪悪感 : 自殺願望につながりやすい
G心気症 : 重い病気にかかっていると思い込んでしまう
*上記のような症状が2週間以上続いたらすぐに治療を受ける必要がある。
介護うつの背景
ギルト (罪悪感)
T セパレーション ギルト
女の子は苦痛に鞭打ち
*separation : 分離 離別 離脱
子供は成長する過程で、自分という存在を自覚し親から心理的に距離を
置くようになるが 、それによって「親を寂しがらせてしまうのでは」、「悲しませて
しまうのでは」という感情を無意識に持ってしまうことがある。
介護をすることによって、子供の時に持っていたこのような感情が再燃して
しまうと介護を一人で抱え込んでしまうことになる。介護疲れで亡くなった
清水由紀子さんは典型的な例であると思われる。
U サバイバーズ ギルト
*survivor : 生き残り 生存者 遺族
事件や死に直面したとき『自分だけが幸せでいいのか』 『自分だけが生きて
いていいのか』等の罪悪感を持ってしまうこと。
介護をしているときや介護が終わったときにそういった感情になりやすい。
介護者が陥りやすい心理状態
・自分しか親、配偶者の気持ちをわかってやれる人間はいない。
男性不妊の肥満
・きちんとした介護は、自分にしかできない。
・一人でなんでもやろうとするが、やろうとしたことが出来ず悩む
うつ状態の介護者への対応
・ 休養と治療 − 介護は、1日中身体的、肉体的疲労をともなうため
うつ状態がひどくならないように休養と治療が必要
(肺炎や高熱がある人に介護をさせないのと一緒)
・介護者の悩みは千差万別であり、自分の介護経験を伝え、「あなたにもできる」という
ことは良くない。答えを出すのではなく、話をじっくり聞いてあげることも大切である。
・介護者の言葉の裏にある背景、心理を考えてあげる。
・一人で介護を抱え込んでいる場合には、抱え込んでいる理由は何かを考える。
・介護者は常に大人の対応、振る舞いを強いられている部分がある。
人間はそれに耐えられなくなることがある。泣いたり、笑ったり、おしゃべりをしたり、
リラックスしたり子供に帰る時間を持ってもらうようにする。
渡辺先生のお話は、ご自身の経験や具体例を交えていただき、大変解りやすく、うつ病の基本的な部分を理解することができました。又質問者のお話を真摯に聞かれる態度が印象に残りました。
今回の勉強会を主催されたNPO法人介護者サポートネットワークセンター アラジンでは、介護者を支えるため、電話相談、研修・講演会や地域支援事業など様々な活動を行なっているそうです。
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